わたしの育てた牛は銘柄牛でありません。
しかし、味では誰にも負けない物を提供していると考えています。
「飼料」、「血統」、「環境」。
この牛肉はわたしの持っている全てを牛に注いで、
20ヶ月間育てた結果だと考えています。
20ヶ月間。
皆さんには長く感じられますか?
わたしには決して長くはありません。
和牛を育てるにはこれだけの期間が必要なのです。
20ヶ月かけて育てたからこそ出せるものがあるのです。
一般的に和牛はサシが入っている物が高級で美味しいとされています。
しかし、皆さんもご存知の通り柔らかく美味しい肉でも胃がもたれたり、
脂味がしつこく感じられることがあります。
それではせっかく食べて頂いた皆さんや牛に対して申し訳ない、
というのがわたしの想いです。
さっぱりとして口の中でとろける脂味。
脂味だけではなく、赤身でも感じられる牛肉の旨味。
これをみなさんに味わってもらいたいのです。
わたしの育てた牛はそれを感じて頂けると自信を持ってお伝えします。
是非、食べてみてください。
そして感想を聞かせてください。
わたしの育てた牛に対しての評価を・・・
牛を育てること、牛に食べさせる餌をつくること、種まきや田植え、刈り取り、どれもがすぐに結果として現れないのがこの仕事の難しさであり、面白さでもあります。
すぐには結果として現れませんが、時間が経った時、はっきりと結果となって現れてくれる。手間をかけた分だけ、美味しい牛肉やお米となって帰ってくる。
だから農業は面白いのです。
牛は、環境によるストレスが原因で、病気や発育不良になります。
だから、毎日ストレスを感じることなく過ごすせる環境づくりはとても大切なことです。
私どもでは獣医師の指導のもとで、牛の健康状態を管理しています。
獣医師は定期的に農場を巡回し、餌の栄養バランス、衛生状態のアドバイスをおこない、病気を発症させない環境を作りの指導を行ってくれます。
また、抵抗力や免疫力を高めることも重要なことです。
発酵菌や生菌剤を使用することで、牛の免疫力を高め、病気になりにくい体を作っています。
こうした一つ一つの積み重ねが、健康で美味しい牛になると考えています。
“牛に与えるものには責任を持ちたい”
この考えから、10年前からトウモロコシや牧草の栽培を始めました。
今では、自社で生産したお米、トウモロコシサイレージ、牧草を牛に与えています。
特に私どもが丹精込めて作ったお米は、牛に給与することにより肉の旨味がますと考えています。
餌には「スーパーネッカリッチ」という炭も混ぜて与えています。
スーパーネッカリッチにより、牛の健康、肉質、衛生面などの飼育状態の向上が期待できるだけでなく、脂身自体もさらりとしたものになり、食べやすく美味しい牛肉になります。
このように、自社で生産し、配合設計した餌を与えているからこそ、
牛の能力を十分に引き出せているのではないでしょうか。
私どもが目指す農業の形は、「循環型農業」です。
外部導入と自社繁殖にて約700 頭の牛を育て、そこから出た糞で堆肥を作り、土壌の改良を行う。
そうやってできた土地で、牛に与える餌であるお米、トウモロコシ、牧草を育てています。
私どもには、みなさんの食を預かっている責任があります。
安心・安全の基準は、すべてにおいて責任を持つことです。
ここだけは妥協したくない。
私どものスタンスです。
私どもはICTやIoTなど、常に新しい技術を取り入れ、最先端の農業をおこなっています。
このような新しい技術を取り入れている理由。
それは、データを元に論理的に農業を行うことが、経営の効率化に繋がると考えるからです。
経験や勘は農業においてとても大切なことです。
しかし、そこだけに頼り過ぎないことが、これからの農業には必要だと考えています。